井手守の仕事

4月から地区の井手守(イデモリ)の仕事をおおせつかった。大分では、水路のことを井路と言い、井路の管理者を井手守と呼んでいる。以前住んでいた、東京国立市の大学通りには桜並木があり、この桜の木を守り育てるボランティアの人を桜守(サクラモリ)と呼んでいた。同じように言われてみると、なかなかかっこいい役である。

 地区の集会で役割が決まった後、妻に対し「これから、イデモリと呼ぶように」と胸を張って申し伝えた。妻は「水路の掃除当番ね」と、意に反してなんだか扱いが軽い。少し不満だ。

 4月に緒方町の井手守・看守会の集まりがあった。実は井手守と並び看守(カンシュ)という牢屋番のような呼び名の役割もあった。看守となにか。聞いてみると、地区の水路の全体責任者が井手守であり、地区内の枝の水路の管理をする人を看守と呼んでいた。よくわからないが、まぁいいか。

 また、話の中で、サブタバンという担当もいることがわかった。カサブタじゃなくて、サブタバン?? どうもサブタという物の番。つまりサブタを管理する人のようだ。酒席を前にして、あんまり質問するのもなんなので、その場はやり過ごした。 後日、事務所に出向き「サブタ」とは何のことですか?そもそも、どういう字を書くのですか? 事務所の人は少し顔をゆがめながら、「方言ですかね。昔からそう呼んでいるのです」「カタカナでサブタかな」と言うではないか。カタカナ? しつこく聞くと、「上げ下げして水量を調整するでしょう」・・・どうも、いわゆる水門のようだ。実は水門にはいろんな種類がある。ハンドルをぐるぐると何回も回さないと動かないような、大きいものもあれば、簡単なものは、単に蓋を付けたり、外したりするものもある。たぶん、その昔の水門の一種をサブタ、と呼んでいたのではないだろうか。

 さて、井手守の仕事はなにか。結論から言えば、下流の隅々まで、いつも水がせいせいと流れる状態にしておくこと、である。田んぼ(水稲)は水が無いと話にならない。時が時ならば、血で血を洗う凄惨な水争いも起こっていた。その、命に次に大事な水を管理する重要な任務である。しからば、そのためには何をするのか、と言えば、水路を見回り、詰まったゴミを片づけることである。わかりやすく言えば、妻が言うように水路の掃除をすることである。私の住む地区は緒方井路の下流にあり、いろんな物が流れてくる。時として、下流の人より「水が流れてこん」と苦情の電話が入る。緊急事態だ。

 二本爪の鍬を担げ、脇には鋸をぶら下げ、そして厚手の手袋、長靴姿で今日も井手守は出動する。ガンバロウ!

 

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