ハチに刺された!

「ハチだ~、ハチ、ハチ」と叫びながら家に駆けこんだ。「どこ?どこ?」と言いながら、おそるおそる妻が土間に出てきた。再び「ハチ!、ハチ!」と言うと、きょろきょろと周囲を見回している。「違うよ」「刺されたんだよ」「手、足」と言って、初めて事の重大さに気づいた妻は、あわててムヒを持ってきてくれた。

 昨日、夕方のことである。ビーバーで畑の一角の草刈りをやっていた私は、植えた木の周辺をかたずけようと、左手を入れた瞬間、激痛に見舞われた。手袋の上から左手の甲を、同時に左足の膝を作業ズボンの上から一撃されたのだ。一瞬何が起ったのかわからなかった。何年ぶりかの感触であったが、徐々に(1.8秒後~)記憶の先にあった痛みの元になるもの(=原因)をひとつひとつ当てはめようとしていた。最初に思ったのは草花のトゲである。違う、トゲの場合瞬間的な痛さで、その後痛みは一旦引く。次に(2.0秒後)思ったのは、ペニシリンの注射針がお尻に刺さった痛みである。これも違う。チクッとした後の、液が入ってくる、あの独特のにぶみがない。チクッとした後も、その痛みが連続しているのだ。と取捨選択を繰り返していた時(2.3秒後)目の前をぶ~んと数匹の虫が飛びかっているのを目撃した。そうか蜂か。これは蜂に刺された痛みだな。と因果関係が明確になり納得した。その瞬間(12.3秒後)、3日前に地区の共同作業(共有林の草刈り)でグローブのように腫れた近所のITさんの左手を思い出したのだ。いかん、自分の左手もあのように醜い姿になるのか。あわてて背中のビーバーを降ろし、家に駆けこんだのである。

 妻が持ってきたムヒを塗りこんだ。しかし痛い、そうだ毒を出さなきゃ。私は右手の親指と人差し指で、蜂の針で赤く、開いたように見える穴の周辺をおもいっきりつまんだ。そして、絞った。ズボンを脱ぎ、左足の膝も同じように、両方の手で思いっきりつまんだ。そして強く絞った。痛い。刺された痛みなのか、強くねずんだ(つまんだ)痛みなのか、よくわからないがとにかく痛い。しばらくして、妻が冷蔵庫で凍らせた保冷剤を二つ持ってきてくれた。「冷やすといいよ」。さすがナース。私は強く保冷剤を当てた。なんだか気持ちいい。私は繰り返した。

①ムヒを塗る②指で絞る③アイスノンで冷やす~10回ほど繰り返しただろうか。患部を見ると、(a)赤くなっている(b)蚊で刺されたような腫れが少しある(c)痛みはほとんどない。30分ほど後、風呂に入り、上がった後、ムヒを塗り、夕食となった。「お酒は控えた方がいいね」と、妻はビールを私のグラスに半分ほどつぎ、残りはすべて自分のグラスに注いでいた。

 そして、今朝起きてみると、なんともない。腫れも痛みもないのだ。助かった。グローブの手にならなくて済んだのだ。代わりと言ってはなんだが、青く内出血した跡が見える。そうか、内出血するほどつまんでいたのか・・・。そして妻は、私の手を見て「なんともないね」、気のせいか少し不満そうに見える。そして、「ハチには強いかもね」

 妻は、昨年の夏、別の植木でハチに刺され、グローブの手になっていたのだ。そして昨日草刈りした場所は、妻の植えたものであり、本来妻が草刈りをすべき場所なのだ。私は「お前の身代わりになったんだよ」と恩きせがましく言うと、「これからもよろしくね」・・・「いらんこと言ったかな」私はだいぶ後悔した。

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