水没事件

それは予期せぬことであった。と、書き始めたいところだが、実は十分予期されたでき事だった。妻の友人がはるか新潟の地より訪ねてくる日のことだ。妻は熊本空港まで車で迎えに行った。私はひとり田んぼに入り、地べたに這いつくばって草取りをした。田んぼの師匠Tさんより「田んぼを干す前に草取りしとかんと、固うて、干した後では抜けんぞ」と言われていた。その日も朝から暑かったが、汗だくになりながらなんとか目ぼしいもの(長い草)は取り終えた。田んぼ用の、足にぴっちりとした長靴、といおうかゴム足袋というべきか、よくわからないが、そんなたぐいの靴の泥を落とすため、家の前の水路に降りた。この長靴は文字通りひざ下まで、長がーくなっている。泥がけっこう上の方まで付いていた。そして、上半身を大きく前のめりなった、とその時、胸元のシャツのポケットから”チャプン”と音をたて、落ちたものがあった。「あっ」と声を上げたが、容赦なく私の白い携帯電話は水中を漂っていた。

 

 実は、その白い携帯電話が水中を漂うのは二度目のことだった。最初の時は、落ちた瞬間(0、3秒)手足が反応し、水中下10cmのところで救助した。そして事なきを得たのだった。その日の白い携帯の行動は違っていた。こともあろうに、水の流れに乗じてひとり泳いでいるではないか。暑さのせいか、単に年のせいか、その日の私の生体反応は0.5秒と、完全に出遅れていた。水泳の飛び込みのごとく、初期反応の遅れは命とりになる。私の手が白い携帯に触れた時、既に水深30センチの地べたに着いていた。水中下で白い携帯をつかむも、ウナギのごとくするりと抜け、今度は地べたを這うように、なんと潜水泳法を始めたではないか。二度目のアタックで白い携帯を捕獲した時は、既に50cmほど泳がれてしまった後だった。今年の夏はひときわ暑い。白い携帯もよほど泳ぎたかったのだろうか・・・

 

  私は、遅ればせながら白い携帯を拾い上げた。そして、これが良くなかったのだが、とっさに携帯のカバーを開けたのだ。いつものように画面がパッと明るくなった。いろいろ操作をして「よかった」「ちゃんと動いた」と浅はかにも安堵したのであった。午後、ワンセグを入れてみるとちゃんと画像が出た。しかし音がでない。表のイルミネーションもいつもの光とは違う。「充電不足かな」と、無謀にも充電までしてしまったのだ。

 重大な異変に気が付いたのは、新潟の友人と夕飯をとり始めた時だった。充電し終わったかなと、携帯のカバーを置けても、画面は暗いままである。それから思いつくすべての処置をしたが、時すでに遅し、私の白い携帯は1年と10か月で、ご臨終とあいなったのである。

 

私はこの事件のケーススタディをひとり密かに行った。

<教訓>

 ・カバーの無い胸ポケットに入れてはダメ→百均でケースを買い、農作業の時はベルトに固定

 ・水没した場合の処置が決定的に間違っている→以下詳細

 ・住所録はバックアップが必要→SDカードにバックアップをとる

 

<水没した場合の緊急処置>

 ※あわててカバーを開けたり、SWを入れてはぜったにダメ(内部でショートするとアウト) 

 ①電源カバーを開け、電池を抜く

 ②手で振りながら、水を切る

 ③カバーを開け、テッシュ等で水を吸い取る

 ④ドライヤー等で乾かす・・・天日干しは不可

 ⑤風通しの良いところに置く・・一昼夜はがまん

 ⑥電池を入れ、そして神に祈りながら静かに電源を入れる

  

  幸運であれば、再び再開できるだろう(確率50%?)

 

 

 

 

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