いつものように白いポストの上に、我が友、アマカエルが居座っていた。ある日の夜、懐中電灯をアマカエルに照らした時のことである。私はその姿に旋律を覚えた。あまりに日常で、昼夜を問わずカエルを見続けており、鈍感になっていたにだろう。大分に移住して２年が経とうとしているのに、不覚にもこれまで気づかなかったのだ。

そのカエルは、なんと目を開けたまま寝ていたのだ。私は叫びながら家に駆け込んだ。「たいへんだ」「大分のカエルは変だ」。ＴＶの刑事ものドラマを見ていた妻はこんな私の叫びにも動ぜず、「なに、どうしたの」と、目はＴＶ画面においたまま。「大発見だ」「ノーベル賞ものだ」とカエルの生態について詳細に論じ始めた。妻は「そう」「知らなかった」、と言うものの目は相変わらずＴＶ画面に向かっている。世紀の大発見かもしれないのに、”そう”はないどろ。せめて、”えー”ぐらいは言ってほしかったのに、と、ぶつぶつ独り言・・・。私は、気を取り直して再び闇夜に懐中電灯を持って出た。家の周りにで、じーっとしているカエルにかまわず懐中電灯照らした。やはりすべてのカエルが目を開けたまま寝ていたのだ。朝ドラ「あまちゃん」で出てくる夏バッパは、半目を開けて寝る技がある。しかし、ここ大分のカエル達は、その目を全開させて寝ているのだ。これが驚かずにいられようか！！？。

翌日、冷静になってネットで調べてみた。これは大分だけでなく全世界のカエルに共通することらしい。カエルは両生類であり、魚へ蛇のような特徴がを持っていることがわかった。魚や蛇にはそもそも閉じるべきマブタが備わっていないらしい。それに対してカエルには瞬膜と呼ぶ膜で目が覆われており、まぶたを閉じなくても目が乾くことはないそうである。ただ、カエルは物を飲み込む時にまぶたが閉じるような動きをするそうである。つまり、食事している以外ではカエルはまぶたを開けたままなのだ。

考えみれば、魚や蛇がまばたきする姿を想像すると、気持ち悪いというか、ちょっと怖い気もする。でも、やはり我が家のカエル達には、夜には目を閉じてぐっすり寝てほしいのだ。