ふつーの米作りでは収穫(稲刈り・脱穀)をコンバインで行う。一般にはよく知られていないが、実はコンバインは”わら切り”まで同時に行い、切ったワラを勝手に田んぼにまいてくれる優れものである。
ふつーでない私は乾燥を天日干しで行うため、稲刈りと束線だけをするバインダーという機械で収穫を行っている。そしてその結果、脱穀後の稲わらを再び田んぼに戻すため10~20センチの長さで切断する作業をしなければならなくなる。
そこで登場するのが「ワラ切り」という手動の刃物である。でかい出刃包丁のようなもので、牛の餌としてのワラ切りがふつーの使い方である。ふつーでない私は田んぼ一面に広がった稲わらを、ひと束づつ、ただひたすら手で切っていく。
ワラは10cmほどの大きさがあるので一度に切るには力がいる。刃物が大きいため油断していると大怪我をしかねない。ひと束づつゆっくりと切っていく。草取りよりもさらに単調な作業である。おおよそか数えてみるとみると、ワラは全部でざっと1000束近くはあり、ひと束で5~6回切るとして、切断回数としては5千~1万回にもなる計算だ。
妻は「地道な作業ね」と声だけはかけてくれる・・・が・・・
師匠のTさんも「ようやるのー」と笑いながら励まして?くれる。私は「1週間もやってれば終わりますから」と強がって期待に?答える。
一人でワラ切りをやっていたら、隣の田んぼにカラスが二羽ほどやつてきた。ワラ切り前の稲ワラをしきりに口ばしで突いていた。「ワラは牛しか食えんぞ」おバカなカラスだなぁ~
途中、家に戻り一休みして再び田んぼに戻ると、なんとワラから外したビニール紐の入った袋が荒らされているではないか。カラスは袋の中を何かの収穫物とでも思ってようだった。まぁ確かにふつーの人は
田畑で何か作業をして袋に入れていけば、なんらかの食い物なんでしょうけどね。
カラスはなんでもつついて悪さをするというが、実は食い物と思っているだけのようだ。まるで、なんでも口に入れて試してみた、私の子供の時のようだ。