いつの間にか春

一週間にもおよぶ長~い闘いに敗れた私は、ただひたすら挫折していた。「B型インフルエンザです」と医者に我が敵を告げられてから、その翌日にして私は敗北宣言をしていた。「もう死にそうです」「負けました」「降参します」と思いつく言葉を並べ、許しをこうたわけだが、敵は許してくれず、それから24時間にわたり私をずたずたした。

 

将棋の世界は互いの王将をとる(詰める)勝負であるが、形勢が不利となり逆転が不能と判断すれば「ここまでです」とか「負けました」とか言って敗北宣言をする。するとそこで勝負は終わりとなる。武士の情けと言うか、無様な姿をさらさずに済むわけだ。

 

ところがインフルエンザ菌との闘いはそうではなかった。私が降参しても敵は許してくれず、ひたすら私を攻めたてた。そして援軍のタミフルが勝手にインフルエンザ菌と闘い、お互いつぶし合った末に両者が私の身体から出て行ったようだった。私があいしらぬ間の出来事である。

 

その敗北感をかみしめながら、久しぶり家の周りを歩いてみた。あっ、花桃の花が咲いている。ホ~ホケキョッ」えっ、ウグイスが泣いている。野ばらに小さな青葉も・・・

 

なんてこった、季節はいつの間にか春になっている。「春が来たぞ~」と妻に叫ぶと、今頃何言ってるの、というような顔をしていた。早々に降参した私に対し、少し距離を置いたような・・・まぁ少なくとも尊敬されるはずはないが。

 

私のことなどお構いなしに春が来ていた。

人間なんて小さなものである。私が日ごろどれだけ自然を愛し、慈しんでいたとしても。また生死をさ迷っていたとしても。それはそれとして、自然はめぐりめぐっていくものである。

 

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