スズメ蜂の巣が目の前に

庭先に植えた樹木が5年近くになり、だいぶ生い茂ってきた。少しさっぱりしようと剪定することになった。梅雨には少し早いある晴れた日のことである。

 

最初は枝分かれしている外側の幹を根元から切った。そして残った幹の枝葉を全体的に少なくするため、脚立に登り上の方から手を入れると、なんだか妙な形をした薄茶色の物体があることに気が付いた。

 

なんだろう?花瓶を逆さにしたような形をしている。よく見ると、斜めに模様があるようだが、と思ったその時に、ブーンと虫が飛ぶ音がした。瞬時に頭の回路がつながった。「クマ蜂だ!」と叫びながら、脚立を飛び降りた。

 

近くにいた妻は「クマ?」「蜂?」、何それという顔をしている。私は再び頭の回路をつなぎ変えた。「え~と、スズメ蜂だ」と言い換えた。ようやく妻は事の重大性に気づいたようで、私と一緒に畑の方に駆け出した。

 

実は私の育った佐賀ではスズメ蜂のことをクマ蜂と呼んでいた。私は思うのである。”クマ蜂”と呼んだ方が断然怖い決まっている。だれが”スズメ”とかか、わいい名前をつけたのだろうか、今をもってしても不思議でしょうがない。

 

追っ手は見えない。逃げ通せたようだ。

 

私は敵の正体を調べることにした。巣の形からして、コガタスズメ蜂と言うらしい。比較的穏やかなスズメ蜂のようで、初期の段階の巣のようである。軍勢はせいぜい1匹、2匹程度か。

 

やるなら今だ。が、陽は既に落ちて薄暗くなってきた。日没引き分けである。

 

翌朝、早朝5時過ぎ新聞配達のバイクの音と共に目覚めた私は決戦の身支度を始めた。敵は獰猛なスズメ蜂であるからして、鉄壁のの防御態勢が必要である。一計を案じた私は作業服の上に雨カッパを着ることにした。これなら毒針も届くまい。へっ、へっ、へっ。靴はコンクリ作業にも耐える「耐油性」のゴム長。頭は麦わら帽子に網をすっぽりかぶった。ふと手先を見ると、手袋の背が軍手生地(木綿)であることに気づいた。いかん、これでは手の甲を刺される。考えたすえに少々動きが悪いがスキー手袋をつけることにした。完璧だ!!

 

見張りがいればいいのだが、時はまだ朝5時半。さすがに妻を起こすわけにはいかない。単独犯行、じゃくて単独行動となった。

 

一晩寝ずに考えた作戦を決行することにした。名付けて鼻栓作戦。下向きの花瓶の先っぽに水で濡らしたティッシュを入れ、栓をするのである。そうしてからハチの巣を枝ごと撤去するのである。我ながら妙案である?

 

恐る恐るティッシュをその”花瓶”の口に差し込んだ。なんとか入ったが、直ぐに落ちそうでもある。私は念を入れ、さらに奥へと差し込もうとした。パリッと音もせず、ぐにゃりと花瓶に口先は裂けた。そして、こともあろうにその巣をワシつかみしてしてしまった。や、やばい!スズメ蜂の巣が私の手の中に。

 

手を離し、慌てて飛び降り、そして逃げた。

 

敵はまだ御就寝の様子で蜂の姿は見えない。態勢を立て直し、第二の作戦を決行することにした。ハチの巣退治のジェット噴射器である。あるなら最初からやれよ、と言われそうだが、平和主義者の私はこのような文明の兵器を好まない。いかしかたなく自衛の為に使うのである。お許し願いたい。

 

シューと噴射した。結構勢いがある。巣全体がじゅっくりと濡れた。そして巣がぶら下がっている枝を道具を使って挟み取り、撤去することができた。兵器の効果はてき面で、巣の中で撃退したらしく、ついにスズメ蜂は姿を見せることはなかった。

 

スズメ蜂の巣は柔らかく、紙細工のようにもろかった。が、再び手で掴む機会がないことを祈りたい。 

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