爺さんはむせる

「爺さんはむせる」ぼそっと妻がつぶやいた。私が湯呑を口に当て、お茶を流し込もうとした瞬間「ごほっ、ごほっ」といつものように?むせてしまい、間髪を入れずに妻が発したのだった。

 

それは前の日のことだった。朝10時ころ、いつものように妻はお茶を飲みながら新聞を読んでいた。ふっと目が開き、「それで、爺さんはむせるのね」と、妙に納得して喋り出した。確か、高齢者の介護ん関する記事だったと思うが、その記事によればこうだ。

 

”むせる”とは、のどの奥にある食道と気道の境目の”フタ”の開閉がうまくいかなかった時に起きるとのことである。つまり、食物の入る胃と空気の入る肺の入り口は一つしかなく、その切り替える弁の動作不良が直接の原因であり、一般に加齢によりその機能が衰えるらしい。

 

ところが、これには男女差があり、男(爺さん)の場合のどぼとけがあるため、それが顕著に表れるという理屈だった。「そうよ、いつも思ってたのよ」「爺さんはよくむせるのよ」「なるほどね」

 

思い起こせば、確かにむせるのが多くなったような気がする。そういえば、朝晩の草刈りも随分きつくなってきた。ひとつだけ衰えていない、と自信をもっていえるのは、食欲くらいだろうか。還暦を過ぎ、日一日と「爺さんへの道」を歩んでいることを実感している。

 

年をとって逆に強くなったものは?・・・ひとつだけあった。虫に対する耐性である。昨日家の前の花壇の草取りをやっていて、蜂に刺されてしまったのだ。痛い、左手だったしもあるが、心臓がピクリと動くような痛さだった。今年最初の蜂刺され、である。蜂に刺された時の3か条を即座に実行した。

 1、刺された箇所の周りを絞ぼる・・・毒を出す? 

 2、患部をアイスノンで冷やす

 3、ムヒを塗る

 

これを繰り返すのである。手慣れたものである。翌朝見ると、小さなホクロのようなアザがあるだけで、痛みもなければ腫れもない。完璧である”全治0.5日”。そういえば、ブトやアブに刺されてもあまり腫れないようになった気もする。虫に強くなった、というより単に免疫が落ちただけかもしれないが、田舎暮らしを続ける上で大きなメリットであることだけは確かだ。

 

妻は虫刺されにめっぽう弱い。久々に妻から礼を言われた。「身代わりになってくれて、ありがとう」

・・・何はともあれ、人様の役にたてことは確かだろう。私の亡き後に、身代り尊としてでも祭ってくれれば本望といものだ。

地べたに近いところにあった蜂の巣

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