「終わった人」

身もふたもないタイトルである。BOOKOFFで買った、内館牧子の定年もの小説を読んだ。読み始めてから直ぐに、なんだかとても身につまされ、そして切なくなっていた。

 

主人公はエリート街道まっしぐらの人生を歩んでいた。一流大学を出て、一流会社に就職し、そして会社役員の直前まで上り詰め、挫折。そして退職した後の生きざまを描いた物語である。

 

何事も辞め時はとても難しい。誰にでも来る定年であるが、頑張った者ほどその時を選ぶのは難しく、そしてその後の人生は、だからこそさらに困難を極める。わかっちゃいるけど辞められない。この本を読んで感じたのは、辞めた後の生き方は、すべて自分で決めなければならない、ということ。そして私自身まだまだ途中であるが、人生の楽しみは人それぞれで、正解などないだろうということである。

 

私はいわゆる会社の定年60才の数年前に定年扱いで退職したのであるが、あの時私はどのように会社生活を整理したのか、少し振り返ってみた。50才を過ぎたあたりから、職場の後輩、特に若い者から今の自分はどのように見えているのか気になりだしていた。間違いなくそのころの自分は、今の私のような年代の者を煙たがっていた。若者にとって自分の将来の障害にさえ思うこともあったはずだ。しかし、その年になり「まだまだこいつらには負けない」とう強い自負心さえ持っている自分に、ただ驚くばかりであった。

 

やはり転機になったには「人生を二度美味しく」の考えになっていったことだと思う。これまでは便利で刺激的な都会で、世の中の最前線と思える会社で仕事をやってきた。これからは全く別の生き方をしよう。何事にも不便な田舎で、できる限り自分の手づくりの生き方をしよう。その為には農業をやりながらの生活が一番近道、との選択であった。そしてこの方向が妻と同じであったことが、とても良かった思えるのである。

 

実際はと言えば、「スローライフ」には程遠い。毎日がやることだらで休まる時がない。しかし、ほとんどが自分でできることばかりであり、手作りの生活をやっていることだけは間違いなく言えるだろう。

 

それまでの会社の仕事とのつながりがまったくなかった、というのが逆によかったのかもしれない。そう、考えることなく、お経をあげてもらうこともなく、会社の仕事から”成仏”してしまっていたのである。

 

「終わった人」とは「始まる人」でもある。今の田舎暮らしは”山の暮らし”ともいえるだろう。そうであるなら、今度は”海の暮らし”もしてみたい。「人生を三度美味しく」か・・・なんだか欲が出てきた今日この頃である。

 

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