冬のわら切り

田んぼで大変なのは夏のヒエ取りと冬のワラ切りである。天日干しした稲を脱穀するとワラが残る。そのワラを田んぼに戻すには20センチ程度に切り刻み、田んぼ一面に広げるのだ。春になればトラクターで田起こしをする。風化したワラはその時に土の中へすき込まれる。土に戻すワラの役割は多少の肥料成分にはなるが、土の物理性を良くするのが主な目的である。物理性とは、水持ち水はけのことである。土は有機物を入れないと徐々に固くなっていく。畑でも田んぼで土の基本は同じである。肥料性、物理性、微生物性この3つの要素が農業における土の基本機能というわけである。

 

フツ―の人の稲刈りはコンバインを使う。コンバインとは複合収穫機械のこと。つまり①稲刈り②脱穀、そして③ワラ切りの3つの作業をすべてやり、自動的に田んぼに戻していく賢い機械なのである。フツ―でない私はその工程をすべて手作業でやっている。正確に言えば①の稲刈りは「バインダー」という単機能の機械を使い、②脱穀は「ハーベスター(脱穀機)」という単機能の機械を使っているが、③は「ワラ切り器」というバカでかい押切の刃物を使っている。

 

「ワラ切り器」とは、つまりはギロチンのこと。ひとつ間違えると指のひとつやふたつ簡単に落ちる(勿論やったことはない)、とても恐ろしい刃物なので、慎重に作業しなければならない。慎重にといっても、直径10㎝程度のワラの束は「えいっ!」と気合を入れないと切れないので、そこの加減が大切である。安全第一、そして効率よく。まぁ気が遠くなるような作業ではある。でもやっていればいつかは終わる。

 

実は稲刈りしたワラをどうするかは、それぞれ流派がある。主流派はもちろんコンバインで切断し田んぼに戻すやり方である。次に多いのがコンバインを使うが第3工程のワラ切をしないで長いまま田んぼに落とし、後で専用の束ね機械で集め1mほどの円柱状にし、最後に白ビニールでぐるぐる巻きに縛る。何に使うかと言えば牛などの飼料にするための保管するのである。いくらかで売れるらしいが・・・?。多くはないが田んぼでワラを燃やす人もいる。草木灰も肥料成分のひとつではあるが主にK(カリ)成分でごくわずかである。ちなみにその昔のコンバインが登場しない時はどうやっていたのだろうか。はっきりしないが、多くの家で牛や馬を飼っており切り刻んで飼料にしたほか、家畜小屋の敷きワラして堆肥化して田んぼに戻していたようだ。私がやつているようなワラ切り器で切断して田んぼに戻すやり方は、他にやっている人を私は知らない。もしかするとワラり切器を使って田んぼに戻すのは後にも先にも私ひとりだったりして?

 

そして今年も作業が終わった。作業に着手して1週間ほど、1月以内が目標だったので予定通りである。昨年から始めた”ワラの二個掴み”が定着したのが大きかったと思う。効率を計算してみると1畝(100㎡)あたりで約0.7H。以前は1H以上はかかっていたのでだいぶ能率が上がった思う。

 

工場の生産技術をやつて数十年、ふと思い出す。目標を決めて日程計画。そして結果を記録し成果を検証する。万事がPDCAサイクルを回すのが会社の仕事の仕方。たしかサラリーマンのころ、こんなふうに仕事をしていたよなー。「いつかは終わる」でやっていたはず・・・が、いつの間にか効率を計っている。もう立派な職業病なのだろう。

ワラ切り器(2束まとめ切り)

切断したワラ

ワラを田んぼ一面に広げる


ワラのあった周辺は草丈が長い

→ワラが肥料化したため


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